不確定性原理【仏典に関するメモ】

仏典に関するメモ

不確定性原理について、いくつかの書物から引用してみます。

 

(ニュートン的な古典物理学の決定論に対して)ハイゼンベルクの不確定性原理というのが現れて、物事はこうだとは言えない、だいたいそうだということはいえるけれども、言い切れないという曖昧性が入ってきたのです。(中略)量子力学では、粒子の位置と運動量、エネルギーと時間など二つ以上の物理量を、同時に正確に測定し、確定することはできない。測定した両者には必ずゆらぎがあり、その積はある値よりは小さくはならない。例えば地球を構成している物質を細かく粒子にわけて、電子レベルにまで細かくしますと、それは極めて曖昧模糊としたものになってしまうのです。
(糸川英夫『般若心経と最新宇宙論』)

位置、速度、エネルギーといった電子の運動を記述するすべての量を、数ではなく数の表で表す、というのがハイゼンベルクの着想だった。電子の位置は、xというただ一つの値ではなく、Xというあり得るすべての位置からなる表で表されており、表の項が示すそれぞれの位置が、あり得る飛躍に対応している。
(カルロ・ロヴェッリ『世界は「関係」でできている』)

位置を決めると運動量がわからなくなり運動量を決めると位置がわからなくなるという、とても有名な相補性、いえ、存在そのものの核を担う理論です。わかりやすくいうと、「今、あなたがそこに立っている」という状態だとします。すると「その次の瞬間にあなたがどうなっているかを正確に計ることはできない」ということがいえるのです。それは、(中略)本質的に、自然とは確定していない、曖昧なものであることを指しています。
(小宮光二『釈迦が語る宇宙の始まり』)

……言いかえると、粒子の位置を正確に測ろうとすればするほど、粒子の速度の測定は正確でなくなり、その逆も成り立つ。ハイゼンベルクは、粒子の一の不確定さと速度の不確定さと粒子の質量を掛けたものは、プランク定数と呼ばれるある量よりも小さくできないことを示した。
(スティーブン・ホーキング『ホーキング、宇宙を語る』)

 

YouTube「のもと物理愛」より、量子力学について少し引用。
量子:エネルギーの小さなかたまり
「……クォークや電子はもちろんのこと、陽子や中性子も量子として扱うべき存在ですね。そして原子も、量子として扱うべき存在です。肉眼で確認できるスケールのものは量子ではなくて、もっとミクロな視点で見たときに、そこに登場してくる物質たち、これは量子として扱うべき対象、そういうことになります」

ではその「量子として扱う」というのはどういうことか?

ファインマン「量子力学を利用できる人はたくさんいても、量子力学を本当に理解している人は一人もいやしないさ

自然の本質は「あいまい」である。
確定しているものなんてない。

 

 

【参考】
宇宙(コスモ)の迷宮への挑戦 般若心経と最新宇宙論―最先端科学の壁を打ち破った衝撃のカギ
(青春文庫) 文庫 –1994/9/1 糸川 英夫 (著)
世界は「関係」でできている: 美しくも過激な量子論
単行本 – 2021/10/29 カルロ・ロヴェッリ (著), 冨永 星 (翻訳)
釈迦が語る宇宙の始まり
単行本 – 2021/12/1 小宮光二 (著)
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで
(ハヤカワ文庫NF) 文庫 – 1995/4/15 スティーヴン・W. ホーキング (著), 林 一 (翻訳)
【量子力学】ざっくり理解!わかりやすく★前半
2020/10/15 YouTube のもと物理愛

 

 

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