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選詩集

 

 

 

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たそがれは夜に入れかわる 夜は
冬に 冬は風の細かな震えに (入れ…… ……
、り……)姿のない庭園がいつしか視界にあり……
裏返す営みはいつまでも終わり続け……

ぼくたちは黒い服から白い服に着替えている
次の扉はなかった
いや きみは違う色の服を着ていた
パサージュ、地下の ささやき(ささやき……)

その音は聞こえてこない
たくさんのねじれ いくつもの
目の前でひらく次の扉 ぼくたちはふたりして
いつしか一本の樹に…… ……木陰に佇んで

何も見つめてはいなかった
いや 白く光るそらの輝きを見ていた ふたりして
風の吹きぬける音を聞いていた
ふたりで 抱きあったまま なにも聴かずに……

ぼくたちは抱きあっていない
そう そこにあるまっ白い壁の輝きに見入りながら……
パサージュ、そう(う?) 駆け抜けていく亀裂
その声は聞こえてこない

いや ぼくたちは聞いていた いいやぼくたちは
聞いていなかった……  木陰 唇のような
ひんやりとする静かな場所
ぼくたちはそこで抱きあっていたのだと思う

いや きみは違う色を見ていた(夢の……)
白い服を いや黒い空を そしてまっしろな噴水を……
ぼくたちは抱きあっていた 違う扉ごしに
同じ隙間のなかで あの一本の樹と一緒になって

同じ まっしろな亀裂(噴水?)の煌きのさなかを
ぼくたちは歩いていた ぼくたちは見つめあっていた
きみは目をふせる きみは何も見てはいない
いや 見てはいなかった ふたりが抱き合う影を

ふたりが 抱き合っていた影を……
ぼくたちはそして歩みをとめる
ぼくたちは歩いてなどいなかった
いやぼくたちは 歩いてなどいなかった…… ……

次の扉をひらけば 視界いちめんに
削られた空……  、ぼくたちはねじれた影を抱いて
ぼくたちはお互いが違う唇をひらいて
同じ言葉を違う扉ごしにささやきあいながら

つめたく静かな回廊の一隅で鏡のように出会う
ふたり、一緒に手にした噴水の破片
そうそれは昨年の秋のこと
いいやそれは今年の初めまだ寒い風が吹いていた頃

 

 

21/Feb/05~

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