ロシア軍がパッとしない理由 ~意図があるのか、もともと弱いのか?~

身辺雑記

 

 

ロシア軍はなぜ弱いのか

あらゆる政治的情報は公平性を欠いており、背後にある利害勢力の意図に基づいて発信・拡散されているという前提のもとに話を進めてみたい。誰が何を発信しているのか?その背景にある利害関係はどういうものなのか?筆者はなにものにも依拠していない。すべてを信じずにすべてを信じるというスタンスでこの世界を見たい。なぜロシア軍はこんなにもパッとしないのか?

 

①もともと弱い?

ニューズウィークの『ロシア軍「衝撃の弱さ」と核使用の恐怖──戦略の練り直しを迫られるアメリカ』によると、ウクライナに侵入したロシア軍兵力は約15万名だが、15ヵ所に分かれて進撃しているため、個々の打撃力は分散されているようだ。また、こんなことを書いている。

「2003年にイラクに侵攻した米軍が3時間でやってのけたことを、ロシア軍は3日掛けても達成できていない」と、米空軍の退役将校はやや大げさに話した。この退役将校によれば、侵攻開始後の3日間にロシアが狙いをつけた照準点の数は、イラク空爆開始時に米軍が狙いをつけた照準点(3200カ所余り)の4分の1にすぎない。米情報機関の初期分析では、ロシア軍は1万1000個の爆弾とミサイルを撃ち、うち照準点に命中したのは820個で、命中率は7%程度だった(2003年の米軍のイラク侵攻では80%を超えた)。

イラク侵攻時の米の命中率がそんなに高かったとは信じられないけれど、ロシア軍の弾幕密度が低いというのはなんとなくわかる。
第二次世界大戦でドイツとソ連が戦った。それこそ、キエフやハリコフ、ドンバス、ドネツク、ロストフ、クルスク、等々の地名は独ソ戦を読んでいるとよく出てくる。ソ連は結局、米英の援助を受けながら圧倒的な数量差で大局的にドイツを打ち負かした格好で、個別の戦術的局面では、ドイツ軍はベルリン攻防戦のあたりでもかなり勝っていたらしい。ソ連軍の戦術はあんまりよくないうえに、地上砲撃も対空砲火も爆撃も、西部戦線の米英の密度に比べたらはるかに希薄だったという。

②ロシア人は戦争に向いてない?

戦争に強い民族といえば、日本人やベトナム人やドイツ人、そして日本のかつての敵だった米英人も、じつはかなり強い。しかもアメリカは今や世界でいちばん実戦経験を積んだ軍隊を持っている。そういうアメリカの退役軍人から見たら、今回のロシア軍の進撃を見ていると、腑抜けのように感じられるのかもしれない。

日本の中でも、九州、東北、北関東、房総の兵などは強かったと言われる。逆に言うと、弱い部隊もけっこうあったようで、そういう部隊が配置された陣地は敵軍にすぐ抜かれたりしていたようだ。
また、赤紙に引っ張ってこられた応召兵は、現役兵と違って里心がついてしまい、そういうのが補充されてきた部隊の将校は顔をしかめた。無敵皇軍と言ってはいるが、日本兵が精強だったのは日露戦争までで、日華事変以降、第二大戦の日本兵は、だいたいにおいてレベルが落ちていたと指摘する人もいる。中隊ごと戦場離脱して行方不明になり、現地人と一塊になって平和に暮らしていたり。
未帰還兵の中には、現地の女性と家族を持って永住を決意した者も含まれている。戦友会などは遺骨収集などで現地に行き、そういう兵のことは分かっているのだけど、遺族には黙って、戦死のままにしている。

ソ連と日本がソ満国境で戦ったノモンハン事変では、日本の関東軍の戦争指導は後手後手のダメダメだったようだが、最前線の兵隊は勇敢だった。ジューコフ配下のソ連軍の何倍もの兵力の反復攻撃によく耐え、補給が途絶した中で陣地を死守した。ソ連兵も日本兵のことを「勇者だ」といってほめたたえた。

でも逆に言うと、それだけソ連軍が弱かったということでもあろう。

日露戦争地上戦の帰趨を決した奉天会戦。日本陸軍はほぼ全兵力を決戦場に集結させ、クロパトキン率いるロシア野戦軍を奉天付近で劣勢包囲し、捕捉・撃滅を企図した。だがロシア軍は秋山挺身隊が後方で蠢動するの察知してこれを「日本の主力打撃軍だ!」と誤認して、戦わずして北方に退避してしまった。
こういうふうに、すぐに後退戦術を取るところも、いくさに向いてない人々なのか?と思わせる一面だ。

第二次大戦でドイツがソ連に攻め込んだときも、ソ連軍は後退戦術の繰り返しだった。モスクワが占領されなかったのは、地面のぬかるみと冬将軍のおかげだろう。また、ジューコフがモスクワ防衛の指揮をとり始めると、督戦隊といって、一線部隊の後ろで機関銃を構えていて、前進しない兵隊を次々に射殺して、突撃を強要した。ここまでしないと戦えないというのは、もう戦争に向いてないということなのかもしれない。ソ連軍はフィンランドに攻め込んだときもあんまりパッとしない闘いぶりだった。

③作戦上、手を抜いて攻撃している?

引用したニューズウィークの記事には、

2003年のイラク戦争の計画に携わったある米空軍将校は、「国の占領を意図しているならば、破壊できる民生用のインフラは限られている」と言う。また、ウクライナはロシアの一部であると主張する以上、モスクワはウクライナ国民をあからさまに直接攻撃することはできない、と軍事オブザーバーらは言う。

というコメントもあった。
攻めるロシア側は、あまりインフラを破壊せずに、電撃戦でキエフを落として親ロ政権を素早く樹立し、米バイデン側の意図をくじくつもりだったか。しかし、そうはならなかった。
侵攻して、手当たり次第にぶっ壊して占領したはいいが、インフラ復旧の能力に自信がないのであれば、「あまりモノを壊さずに攻め込みなさい」だなんて命令が行ってたのかもしれない。こういう大きなくくりの命令が発する微妙なニュアンスは、最前線で目標に引き金を引くかどうかの決断を大きく左右する。弾幕密度が低いのも、こういうことが背景にあって、手加減しているのかも?

④兵の士気が上がらない?

イスラームに洞察の深い内藤正典氏のツイッター によると、

@masanorinaito
トルコ国営放送。以下はゲストの戦略専門家見解だが「トルコはロ、ウ両国と重要な関係にある上NATO加盟国であり、三者の要求を全て満たすことはできないという極めて困難な状況にある。NATOはウが加盟できないことを知りながら、欧州加盟国の意向を重視せず、米英主導でロを追い詰めた」
トルコ国営放送。元国軍将官が解説。圧倒的兵力にもかかわらず、ロシア軍兵士は「何の為にウクライナに踏み込んだのか?」を理解できない為、士気は低い。ウクライナ側は大統領以下、軍、市民の抗戦の意志は明確。この差が実戦では重要だと。
2022/02/26

ウクライナ人たちは、なんのために戦うのかをはっきり分かっているのだと。ただ、私見だが、あのウクライナの大統領さんは、顔を見ていると、ちょっと、どうなんだろうか。

内藤氏は「日本のメディアは海外記事のパクリばっかりでぜんぜんダメ」と、厳しい目で情勢をウォッチしている。こんなツイートもあった。

@masanorinaito
中東から見ていると、2015年にシリア内戦に介入し激しい空爆で劣勢だったアサド政権を立て直したことが、今回のウクライナ侵略の予行演習だったように思える。だとすれば、ロシアとしては、まだ手加減しているつもりかもしれない。最後はそれこそ残忍なやり方で完膚なきまでに叩きのめすつもりだろう。
午前1:13 · 2022年3月8日

この見解は意味深だ。

⑤エゼキエル戦争 ~プーチンの戦略~

プーチンはエゼキエル戦争を戦っているとも言われる。今回はとりあえず小当たりして、適当な頃合いを見計らって中国かなんかに間に入ってもらって手打ちにして、ウクライナ・コーカサス方面に火種を残したままいったん手を引く。そして本チャンの機が熟したら、ガチで攻めてくるのかも。
だがどこに?たぶん仲のいいシリアのアサドの手を借りて前進基地を作り、その南に向かって攻める?

主の言葉が再びわたしに臨んで言われた。
「何が見えるか。」
わたしは答えた。
「煮えたぎる鍋が見えます。
北からこちらへ傾いています。」

主はわたしに言われた。
北から災いが襲いかかる
この地に住む者すべてに。
(エレミヤ書1-13, 14)

エゼキエルの話をしていてエレミヤ書から引っ張ってくるのもなんだが、昔からこのパッセージが心に留まっていたのでちょっと書いてみた。エレミヤが恐れた北からの災いはもう終わっている。今やエゼキエル書における〝北からの脅威〟の世界だ。

エゼキエル戦争。『エゼキエル書』の「ロシ(ローシュ) によると、

ロシア語訳の「宗務院版」は князю Роша, Мешеха и Фувала と князь Роша, Мешеха и Фувала で、「ローシュ」は固有名詞として Роша (Roša)になってる。

こういうことだ。〝ロシ〟については日本の聖書では一般名詞の「首」「頭」と解釈し、「大首長」というような訳が当てられているが、ロシア語では上記のとおり、「クニャーシ・ローシャ」と、ローシが思いっきり大文字で固有名詞で登場している。ローシャの最後の「アー a」は語尾変化してローシがローシャになっていると思われる。クニャーシというのは皇帝とかそういう、国の偉い人の意味だ。

ローシの皇帝が攻めてくると、ロシア語の聖書にはっきり書かれている。

【続編】
プーチンにとってのキューバあるいはパールハーバー 【ウクライナ侵攻】

【関連】
ウクライナ情勢新展開。中国は?戦争と防衛戦争、日本の立場

 

【参考】
YouTube「人間を越えた人のためのチャンネル」
プーチンの大逆襲(大どんでん返し)!ヨーロッパエネルギー(石油.天然ガス.穀物)連合結成!ロスチャイルドを絶滅させプーチンが平和に新しい世界秩序を産みだす道!いくつかの紛争があろと最後はこうなる! 2022/02/17

 

コメント

  1. A fascinating discussion is definitely worth comment.

    I believe that you ought to publish more on this topic, it may not be a taboo subject but usually people don’t
    speak about such subjects. To the next! Cheers!!

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