(痛ましくも光のように……)

選詩集

 

 

痛ましくも光のように飛びかい 満ちるものは両翼に

かたどられ 時として

雷鳥と星たちのはざまを駆けぬける

 

沈黙の姿をした声

形ある深淵よ ひびきよ 塵よ 根よ 青の

梢よ

おまえは澪をたどり

豊穣のひと房を光でなぞりながら

こぼれた文字を

渦のかたわらに 羽根のように置く

 

飛びかう光 のぼりゆく色の交差はあったのか

伸びた指先で空を触ろうとするものは

 

そのとき 命はあった

指先に微かに触れる岩の脈動――

子午線の向こうでしずかにかがやく青い

天空の木漏れ日のように

 

 

 

2022.10.07

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