2022-01

存在の正しい法則

塔を”見る”ということの意味~見宝塔品、従地湧出品そして無生法忍~

『法華経』見宝塔品に登場する多宝塔は入滅した無限の如来の集合体のことで、それはこの存在の世界におけるすべての”誕生-維持-消滅”のサイクル、すべての結果、すべての始まり、すべてのプロセス、その全体を意味する。では、塔を”見る”とはどういう意味なのか。それはあなたの内奥に拡がる無限を認識することにほかならない。
身辺雑記

ミネルヴァの猫はシュレディンガーの箱の中で眠る ―悪意とやさしさの共存度―

ここに自由にふるまう猫がいたとしよう。この子が家の中のどの一点に位置を持っているかを確定することは不可能だ。ソファ上の一点に、ベッドの下に、ハードディスクの横に、あるいはまたカーテンレールの上に、紙袋の中に、段ボールの中に、あるいは本棚の脇...
存在の正しい法則

如来寿量品と光速度不変との関係 ~わたしという存在の不安について~

『法華経』如来寿量品に関して世俗で言われる「久遠実成」「お釈迦様の寿命は永遠」などの解釈は、実は三界を超越したさとりの無限性を巧みな比喩によって説明した<方便>だった。この世界そのものも仮想世界であり、如来によって設定されたたとえ話の世界に過ぎない。
選詩集

さねさし

(さねさし ……)炎のなかでわたしを求めてくださったあなたさねさし、相武の野にわたしを呼ぶあなたの声が渡るはしるみずに臨みいまその声を聞いていますもゆるほのほ燃ゆる火のほなかに、わたしをさがすあなたの姿が見えるいまその姿を思い出します燃え立...
選詩集

(石英の、……)

(石英の、……)石英の、……光の、……灰の……あわい息の震え(たそがれの小舟を隠してある)葦の茂みの息づかいが渡る空、水晶の環が描いた子午線に沿ってこの、ひと握りの空の破片を太陽のようにまき散らす蓮のような夢がささやく海で、眠る夢の中の 灰...
転生のための試論

来世の設定に関する試論2.0

「幽玄な竹林に月光が降り無数の瑠璃が輝く」という世界 すべての時が集まる廊下で、軽く透明な声をわたしは聴いた、/「LUNA世界に行ったことは?」 それはここにある阿僧祇世界のひとつ、 でもそこからはたどり着けないところにある。 遠いところにあるわけではなく、 すぐそこにあるのに そこからは行けないどこか。。。
転生のための試論

来世の設定に関する試論1.1

幾千万億の夜明けと黄昏が時を交しあううちに/恒河沙の日々にわたって雨が大地をうるおし/那由多の日々にわたり生きとし生けるものが地に満ちるまで/果てしない数の求法者をあなたは目にするだろう// 往き往きて彼岸に向かう者よ 全知者が語る/ただひとつの聖なる言葉を聴け…
転生のための試論

来世の設定に関する試論1.0

今から369年後のこの星のどこか/あるいはどこにもないこの星で/この星の どこでもないある場所で/大地と全天のはざまを吹き抜ける強い風と/千々の風びらのただなかで生じたことについてわたしは語ろう。//沈黙の果てにこだまする/かすかな轟きと余韻…