宙吊りにされたままの 空の
斜めの夏至
灰白色の音符の切れ目のない連鎖が
黄道に沿って輪舞していく
切れ目なく 切れ目なく 切れ目なく
かすかなブレス
この間隙を縫って渦状に吹きつけてくる
肌、紫、黒、白、の
風のことば
いやし いやされる
わたしたちの根
あなたは苦を啄ばみに来た
あなた 昏い眼
夜の奥から切り取ってきた裂け目
部屋じゅうの時計が
針先をそろえ いっせいに逆進するとき
あなたはついばむ、
昏がりのぬくい手つきで あなた
ついばんでいく ぼくを
手で
もぎとるように
くだものを
手で
もぐように
それと引き換えの肉
鏡界の向こうのあなた こちら側の
あなた あなたの啄ばみは
ぼくの喰らい、
あなたを糧とし
のぼり尽くした頂きに掛けられていた
未契約の王冠をぼくは手にする
灰の閃光があり
一本の食い尽くした肉になってぼくは垂直になる
からだいっぱいにひびきわたる
負のうぶごえ
まっさおに こがれていく空
2
歪んだ夏至のもとで
肌、紫、黒、白、と 勾玉が震える
いとちいさきものよ、
おまえの風が満ち溢れるさなか
その吐息と息の根を
互いに吸いあったふたつの影が長く伸びていく
子午線にいたるとき
これらふたつの傷は互いを塞ぎあうだろう
2003.07.22~2022.04.29
コメント